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朝倉 勇
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朝倉 勇
 
 
 
 
 

子どもの歌 “花は必要”と、オードリー・ヘプバーン
2013.12.05

    「花は必要」。古くからイタリアの幼稚園で歌われていた歌。こんな歌詞だそうです。
   ♪ 椅子をつくるには木が必要 
  木をつくるにはタネが必要
  タネをつくるには実が必要
  実をつくるには花が必要
  花は必要 花は必要 ♪
    この歌を映画女優のオードリー・ヘプバーンさんが、息子と共に歌っていたという。難しい理屈ではなく、子どもにも納得のいく道理がすてきな言葉で語られています。輪廻、時間の意味、味わいある言葉。すばらしい詩人の仕事です。知恵とは、こういうことをいうのでしょう。
  そして、オードリーという人がこの歌詞に共感して子育てしていたことにも、感じ入るものがありました。
  ものごとの道理は本来シンプルなもの。それなのに現代社会は、身勝手な理屈が多すぎる。マネーが跋扈している。そんな気持でいるときに知ったこの歌詞、そしてオードリーという女性が気に入りました。よい仕事をする人はよい感性を持っているのかな、という思いです。逆かな、よい感性を持っている人がよい仕事をする、でしょうか。
    いまごろ知ったのですが、ヘプバーンさんは人生後半をユニセフ活動に捧げていました。戦争や紛争に苦しむ子どもたちを助けようとの思いは、第2次世界大戦下にオランダで過ごした子ども時代の、過酷な体験に基づいていたのでしょう。ドイツ軍の占領で邸は没収され(母はオランダ貴族の家柄)、窮乏生活へ。ドイツ兵から身を隠すため田舎に逃れ、狭くて暗い地下室に身を隠す。チューリップの球根を食べて凌ぐなど『アンネの日記』のような恐れと緊張の日を重ねる。バレリーナを目指していたのに、やせ細り、踊ることもできなくなっていたといいます。
  その危険、恐怖、窮乏を救ったのは平和と人道支援でした。
 

1954年にはユニセフ(国連児童基金)の活動に参加
1989年、ユニセフ親善大使に任命される。映画「ローマの休日」の翌年です。
1992年、ユニセフ活動に対し文民を対象とする米国最高位の大統領自由勲章を受ける。
  ヘプバーンさんは、1992(死去の前年)ソマリアを訪問。当時のソマリアは、かつて心を痛めたエチオピアやバングラデシュを上回るほどの悲惨な状況でした。それでも彼女は希望を捨てず、こう言っています。「政治家たちは子供たちのことにはまったく無関心です。でも、いつの日にかは人道支援の政治問題化ではなく、政治が人道化する日がやってくるでしょう」
  「奇跡を信じない人は現実主義者とはいえません。私はユニセフがもたらした、水という奇跡を目にしてきたのです。何百年にもわたって、水を汲むために少女や女性たちが何マイルも歩く必要がありました。でもいまでは家のすぐそばに綺麗な水があります。水は生命です。綺麗な水はこの村の子供たちの健康と同義なのです」。
  「貧しい地域に住む人びとは、私のこと“オードリー・ヘプバーン”は知らないでしょう。しかしユニセフという名前を覚えてくれました。ユニセフという文字を目にしたとき、人びとの顔が明るくなります。何が起こるかが分かっているからです。例えばスーダンでは、水を汲み上げるポンプは『ユニセフ』と呼ばれているのです」 。

    ヘプバーンさんは、こんなことも言っていた
  美しい唇が欲しいなら、優しいことだけを話しなさい。
  美しい目がほしいなら、人の良いところを探しなさい。
  For attractive lips, speak words of kindness.

  For lovely eyes, seek out the good in people.
  韻をふむ、詩のように美しい言葉。教養ゆたかなひとだったのでしょう。
  そしてさらに、「落ち着きが欲しいなら、自分は一人ではないということを胸に歩きなさい」とも言っていたという。
  次の言葉はどうでしょう。
「年をとると、人は自分には2つの手があることに気づきます。
ひとつは自分を助ける手。そして、もうひとつは他人を助ける手」
「母から一つの人生観を与えられました。
  他者を優先しないのは、恥ずべきことでした。
  自制心を保てないのも、恥ずべきことでした」。
   
    この母に育てられ、その教えを継承して、彼女は残りの人生をユニセフ支援活動に取り組んだのだと思われます。次の言葉にそれを感じます。
  「戦争を経験して、逆境に負けない強靭さが身につきました。また、戦争が終わって戻ってきたもののありがたみをつくづく感じました。食料、自由、健康、家庭、そして何より人の命に、深い感謝の念を抱いたのです」。
  そして、こうも言っています。「何としても避けたかったのは、人生を振り返ったとき、映画しかないという事態です」。
  いずれも深い味わいをもつ言葉だと思います。あの名画「ローマの休日」の可憐な王女役を演じたオードリー・ヘプバーン。一人の女性、二人の息子の母として、見捨てられた子どもたちの支援活動に取り組んでいたことを、いまごろ知りました。
   
  1992年、がん発症。ロサンゼルスで手術を受けるが転移多く手遅れ。
1993年1月20日、スイスの自宅で死去(64歳)。
葬儀でグレゴリー・ペックさんは、ベンガルの詩人タゴールの詩を朗読したという。どんな詩だったのでしょう。
  ヘプバーンさんの次の言葉に、ほっとします。
「どのように言えばいいのでしょう。とにかく私の人生はとても幸せでした。」
        (NHKテレビ番組『永遠のオードリー』2013年11月30日放送を視て)。
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